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つづく ご意見をお聞かせ下さい第一章 出会い篇 運命の白い糸
その1 白い犬の気持ち 僕は白い犬です。僕は6人兄弟の末っ子として大阪の高槻市で生まれました。 お家は派出所で、大勢の犬達と一緒に住んでいました。僕って警察犬なのかな? 飼い主のお母様はとても優しくて、皆のびのびと生活しておりました。 お家は山が近いので、毎日寒くてストーブの前でゴロゴロしていました。 僕のひげはストーブの熱で縮れていたし、身体も汚れていました。 雪の降る寒い日に、白い車に乗ったおじさんがやって来ました。 (白馬に乗った王子様がやって来たのではありませんでした。) そのおじさんは、小犬を貰いにやって来たそうです。 最初に僕のお兄ちゃんが連れて行かれました。一番元気が良くて、毛並みも良く 身体も大きいので、「お兄ちゃんに決まりだな」と僕は思っていました。 でも、お兄ちゃんは帰ってきた。何匹か行っては帰り、ついに僕の番がやって来たワン。 おじさんは事務所の椅子に座っていました。僕をしばらく抱いて、床におろしました。 僕は寒かったのでおじさんの足下にくっついて居ました。柴犬の顔グロ君も呼ばれたが 直ぐに床におろされました。しばらくして、僕のお母さんが呼ばれました。 僕が大きくなるとどのくらいになるか知りたいと言ってました。 お母さんはおじさんに近づき、頭をおじさんのおなかにくっつけました。 おじさんは最初ビックリした様子だが、直ぐに笑顔になりました。 そこに、トラックの運転手さんが道を尋ねにやって来ました。 すると、僕のお母さんはいきなり吠えだしました。すごい迫力だった。 飼い主様に「静かにしなさい」と言われて静かになった。 トラックの運転手さんが帰った後、僕のお母さんはおじさんにしっぽを振って 「僕のことをよろしく」と言ってくれた。 僕はおじさんの足から暖かいぬくもりを感じていました。 おじさんは僕を指さして、「この子に決めました」と言いました。 飼い主のお母様は僕の旅立ちを最後まで見送ってくれました。 僕はおじさんの白い車に乗って、新しいお家へ向かいました。 僕にとって車は初めてなので、酔ってしまいふらふらでした。 おじさんは時々僕を見て、にこにこしながら「おとなしいね」と言いました。 苦しい、もうダメだと思ったとき、おじさんが僕を抱いてくれました。 「なんだ、車に酔っていたのでおとなしそうに見えたのか」と言いました。 その2 おじさんの気持ち 私は4人家族のパパです。家族構成はママと子供のケンくんとカンちゃんです。 家族は動物が好きだが、犬はまだ飼ったことがありません。 最初はハムスターを可愛がっていました。でもハムちゃんは小さすぎて抱っこできないと 不満のようでした。そこで、猫を飼うことにしました。ふーちゃんという名前です。 とても利口でケンくんとカンちゃんは妹のように可愛がっていました。 2年ほどたった頃、その猫は事故で死んでしまいました。 ある日、ケンくんが犬を飼ってみたいと言いました。 パパも犬を飼ってみたいと思っていました。それから、犬の出ている映画を探して見ました。 忠犬ハチ公の映画を見た時、犬も愛情をかけて育てれば、心が通じ合う物だと思うと 早く、飼ってみたいと思いました。早く、犬と生活をしてみたいと思うようになりました。 ペットショップの犬は皆悲しい目をしているようで縁がありませんでした。 冬の寒い日に、ママが「犬差し上げます」という新聞広告を見つけて言いました。 「この犬かわいい」。それじゃ明日見に行こうとパパが言いました。 翌日は、雪が降って、とても寒い日だった。 でも、パパは犬を見に行って来ると言って車で出かけました。 今日は土曜日なので、車が多くて、渋滞でうんざりしている、おまけに雪がどんどん降ってくる。 このまま行くと雪で帰れなくなるかもしれない。「行くの止めようかな」とパパは思った。 迷う気持ちを持ちながら運転し、約束の場所に辿り着いた。でも、道を間違えてしまったようだ。 もう、雪も降っているし、帰ろうかなとパパは思った。でも、せっかく近くまで来たのだからと 電話をしてみた。すると、飼い主のお母様はとても親切で、ここまで迎えに来てくれると言ってくれた。 「10分ぐらいでそちらに着くから、そこで待っていて下さい」。 あれから20分ぐらい待ったけど誰も来ない。もう帰ろうかなとパパは思った。 車を動かして戻ろうとしたとき、一台の車とすれ違った。「犬の飼い主様ですか?」 「そうです。私の後を着いてきて、ここから直ぐのところです」と言われて、パパは車の後に続いた。 細い道や住宅街をくねくねと曲がってもなかなか着かない。 雪が強く降ってきたし、あの角を曲がって家に帰ろうかなとパパは思った。 でも、そんなことは出来ないなと思っている内にやっと車が止まった。 「ここですから、ここに車を止めてください」 「えっ、交番の前ですよ。」「はい、そうです」 派出所のドアを開けると、紛れもなく犬のにおいが漂っている。 「小犬はたくさん居ますからゆっくり選んで下さい」 次々と小犬を連れてくる。いったい何匹居るのだろう? 「僕は白が好きなので白い犬を見せてください。家も車も皆白です。」とパパが言った。 最初の白い犬は元気が良くて、毛並みも良く、まるまると太っていた。 しかし、抱っこすると10秒もしないうちにクィーンと泣き出した。皆のところに行きたいようと言っている。 「すみません、他の子をお願いします」とパパが言った。でも抱っこすると、また、クィーンと泣き出した。 もうあきらめて帰ろうかなとパパは思った。 みんな寂しがり屋なのかな?「最後に一番小さい子をお願いします」とパパが言った。 やって来た小犬は、小柄で体毛が一番白かった。パパが抱っこしてもおとなしくじっとしている。 白い犬を床におろすとパパの足下にくっついてかわいい眼差しで見つめている。 それでも、小犬が次々とやってくる。柴犬の顔グロ君もやって来て床におろされた。 柴犬の顔グロ君もパパの足下にくっついた。そしてついに決断の時がきた。 「家の中で飼うので、あまり大きくなると大変だと思います。この子の母親を見せてください」とパパが言った。 そして、お母さん犬が登場した。お母さん犬はいきなりパパに近づき、顔をパパのおなかに押しつけた。 「変な犬だなあ。不気味だ。しっぽと背中だけ毛が長い。やっぱり、止めようかな」とパパは思った。 そこにトラックの運転手が道を尋ねにやって来た。ところが、このお母さん犬が吠えた。もの凄い迫力だった。 「おお、怪しい人には吠えるんだ」「このお母さん犬は賢い犬なんだ」とパパは思った。 「でも、この小犬は汚れて、髭が縮れている。止めようかな」とパパは思った。 トラックの運転手が帰った後、お母さん犬と白い小犬はパパを見つめてばかりだった。 「やはり、外観より性格が大事だよ。この親子はパパに期待してる」とパパは思った。 しばらくして、「この子にします」とパパが白い犬を指さした。 「2匹で良いですか?」と飼い主のお母様が言った。「初めてなので、1匹で良いです」パパが答えた。 帰りに、飼い主のお母様がお土産をいっぱいくれて、道のわかりやすいところまで車で見送ってくれました。 「この子をよろしく」と我が子を手放すように言ってくれた。 「なんて優しい人なんだろう」とパパは思った。 白い小犬は車の助手席で眠っている。おとなしい犬で良かったと思ったが、ちょっとおとなしすぎる。 よく見るとよだれがいっぱい出ている。初めて車に乗って、車に酔ったんだ。 「なんだ、車に酔っていたのでおとなしそうに見えたのか」とパパは言いました。 お家に着くと、皆、ビックリした。「連れて帰るとは思わなかった」とママは言った。 「なんて可愛い小犬なんでしょう」と言ってほしかったがちょっと無理だったかな。 小犬を直ぐにお風呂に入れたら、気持ちよさそうに入って、その後ぐっすりと眠りについた。 翌日、「なんて可愛い小犬なんでしょう」と言う声が聞こえてきた。人気の犬になってきたようだ。 そして、成長すると、「この犬の頭にハートマークがある」「幸運を運ぶ犬だ」ということが分かった。 まさに、運命的な出会いなのだ。何度もあきらめようとしたのに、今、ここにいる犬なんだ。 パパは「この犬がパパを選んでくれた」と思っている。だって、パパの足にくっついて離れなかったもん。 そして、パパもこの白い小犬を選んだ。だから、第一印象で二人は相思相愛の仲なのです。 この白い犬は運命の白い糸でしっかりと結ばれていたんだ。切ろうとしても切れない不思議な糸なのです。 思えば何度あきらめて帰ろうかなと思ったことか。この白い犬に辿り着くまでは長い道のりでした。 白い雪の降る寒い日に、白い車で白い家にやってきた白い小犬はライオンのような鬣があるので 「レオ」と名付けられました。やっと、生活が始まったばかりで運命の犬だと思うよしもありません。第二章 成長期篇 いろんなことがしたい
お家の中で遊ぶ毎日 我が家にやって来た白い犬は、やんちゃで、ボールを追っかけては、くわえて持ってくる、遊び好きな犬です。 ボールで遊んでいる内に、赤いボール、黄色いボール、緑のボールを覚えていることに気付きました。 黄色のボールと言うと黄色のボールを持って来るではありませんか。素晴らしい、犬って色がわかるのかな? たしか、色盲だって聞いたけど・・・。でも、ちゃんと、持ってくると言うことは区別できるようです。 ぬいぐるみが大好きなので、ねこ、リス、いぬ、アンパンマン、ソニックなどもくわえて持ってきました。 中でも、ネコのぬいぐるみが大好きでいつも、くわえて、家の中をうろうろしてました。 名前を覚えることができるなんて、すごいなと思いました。犬は100個ぐらい言葉を覚えるようだとテレビで 聞いたことが有ります。それから、いろんな、言葉を覚えました。レオ君は首をかしげて、目を見ながら、 一生懸命に分かろうと勉強しているようです。幼児教育のように、ここ、そこ、あそこ、こっちなど場所を 示すとちゃんと理解して、移動するようになりました。なんだか、犬とつき合うのが楽しくなってきました。 物を覚えるともっと楽しくなると思い、家の中にある物を教えると覚えも早い。ティッシュ、リモコン、お皿 等も覚えて、頼むと持ってきてくれる。もう、三歳児よりすごいかも・・・。 レオ君がやって来て、1ヶ月が経ったある日、おでこにうっすらと模様が見えてきました。なんだろう? レオ君はケージで生活していましたが、身体がみるみる大きくなり、天井に頭があたるようになってきました。 レオ君は行儀が良くて、いたずらをしないので、人間様と同じように座布団やソファの上で寝るようなり、 自由の身となりました。でも、落ち着かないな。僕のお家はどこですか?いろいろ、探して、やっと、ソファの 上に決めたようです。仰向けになって、気持ちよさそうに寝ているのを見かけました。 獣医さんから予防接種をしたときに、幼い犬は抵抗力が無いので、あまり外に出さない方が良いと言われ、 家の中で6ヶ月ほど過ごしました。家の中がドッグランです。いっぱい遊んで、寝て、食べる毎日です。 ご近所をうろうろする日 そろそろ、外の世界を覗いてみたいと外の世界に興味を持ち始めました。 突然、ドアの隙間から、逃げだし、逃亡しました。近所を駆け回り、呼んでも帰ってきません出した。 大好きなミルクを玄関に置いて誘っても帰って来ない。外が好きなんだって。でも、リード無しで外を駆け回る ことは許される事では有りません。パパの堪忍袋の緒が切れて、ついに、閉め出されました。 クィーン、ごめんなさい!お家に入れてよ!と言っても許してもらえませんでした。反省犬だなと思い ドアを少し開けると、隙間に鼻を突っ込んで無理矢理中に入ろうと必死でもがいていました。 その後も、何度か脱走して、近所を駆け回った事が有りました。ご近所さん、ごめんなさい。 ある日、近所の茶色の豆柴にしっぽを振りながら近づいたら、後ろ足をいきなりガブリと咬まれました。 キャイーン!ああ、ビックリしたワン。真っ白な足から血が出ていました。治療をして一安心だワン。 もう、絶対、豆柴には近づきません。それ以来、レオ君は茶色の犬が苦手になりました。 もう、家を飛び出して、ひとり歩きはしませんと心に誓ったレオ君です。その後、ドアが空いていても 家から出ることは有りません。出ろと言っても出ません。出ろ!出ろ!レオ! 散歩なら一緒に行くワン。だから、リードを付けて欲しいワン。そして、ネコちゃんをくわえて行くワン。 そんなネコちゃんは邪魔だから置いていこうと言って、取り上げても、レオ君はくわえて行こうとする。 レオ君、ネコちゃんをくわえて散歩すると、息ができないよと言われたので、小さなバケツにしましたワン。 それ以来、散歩に行くときは愛用のバケツをくわえて行くようになりました。こだわりの犬です。 初めての旅行 公園へ行こう!休日に王仁公園に車で行くことにした。ところが、レオ君は車に乗ると気分が悪くなるのです。 困ったな、どうしよう、酔うとかわいそうだな!でも、行かなきゃ!だって、夏休みに家族で旅行に行く予定 なんです。レオ君、頑張ってちょうだい!酔わないようになるのかな?不安な日々でした。 車をゆっくりと休みながら運転して、なんとか、公園にたどり着いて公園デビューをしました。 広い草原で思い切り走り回って、とても楽しい一日でした。明日も連れてってワン! 1ヶ月ほど、車で公園まで、通い詰めているとレオ君も酔わなくなり、旅行に参加できそうな感じです。 夏休みになり、いよいよ、富士山の麓、山中湖へ出発しました。片道350Km以上走る長旅です。 レオ君はふるえながらも車に慣れて、多賀サービスエリアを過ぎる頃には、運転席と助手席の間に身を構え、 ドライブを楽しむかのように流れゆく景色を目で追っていました。これで一安心楽しい旅行が出来るワン。 最初に訪れたのは、富士山の見える日本平です。有度山の頂上まで登りました。 そして、三保の松原の広い海岸を歩きました。砂浜で走り回ったワン。砂浜って気持良いワン。 初めての外泊です。でも、犬はホテルに泊まれません。ホテルの紹介により、ペットホテルに泊まりました。 他にも仲間が沢山いましたが、僕は人間との生活に慣れているので、寂しくてしかたが有りませんでした。 色んな事を考えました。ここはどこなんだ?僕はどうなるんだろう?もう、家族に会えないのかな? 翌日、家族が迎えに来てくれた時はうれしくてたまりませんでした。もう、車から絶対離れませんワン。 よほど、寂しい思いをしていたのだなと感じました。それ以来、ペットホテルは利用しないことにしました。 レオ君は富士山の五合目に着いても車から降りません。もう、独りぼっちにはさせないから大丈夫と 言い聞かせて、やっと、しぶしぶ、降りてきました。ソフトクリームを買って差し出すと、嬉しそうに 食べて満足していました。僕は本物のミルク系が好きなんだワン。100円ソフトはいらないワン。 初めての標高2500mでは、涼しい風が吹き、気持ちよい場所だと感じたようです。 そして、蓼科に行きました。またまた、牧場があって、美味しいソフトクリームにかぶりつきました。 大きな馬が僕を見ているワン。初めて見る大きな動物だワン。上から見られると怖いワン。 蓼科湖で遊んで、霧ヶ峰へ向かったワン。美ヶ原の道路は大渋滞でノロノロ運転で疲れたワン。 松本市内へ向かって、19号線から中山道を通って、馬籠に立ち寄り、帰路につきました。 レオ君にとって初めての旅行で、色々体験して疲れたのか、帰りの車の中で、運転しているパパの左腕を 枕にしてぐったりと寝込んでいました。あれ、もう、お家に着いたの?わりと早かったワン。 やっぱり、お家が最高に落ち着くワン。ベットの上でごろ寝、気持ち良い場所だワン。 以後、レオ君は食う、寝る、遊ぶの毎日を過ごしました。そして、休日は公園で遊ぶのが日課でした。 公園でお友達も沢山出来て、会うのが楽しくなってきました。フリスビーやボールでも遊びました。 初めての海水浴 毎日、暑い日が続いているので、レオ君は寝てばかりで退屈のようです。レオ君はお風呂が大好きで 水も恐れず、大好きなので、日本海へ海水浴にいきました。砂浜でうろうろしてから、パラソルを立てて 砂浜で甲羅干し、ああ、気持ちよい場所だワン。サングラスをかけて、目を紫外線から守りました。 海に来たからには泳がないと意味がありません。レオ君、泳いでと言ったら、沖へ向かって、一直線に 泳いで行きました。真っ直ぐしか泳げません。おーい、何処まで行くんだと声をかけても真っ直ぐ 泳いでいくレオ君。このままだと危ないと思った瞬間、くるりと向きを変えて、Uターンができました。 押し寄せる波が大きくなり、ザブーンとレオ君の顔に海水がかかった。ウォー!辛い!ペッペッ! 海の水は塩辛いのです。こんな水飲めませんワン。泳ぐのは良いけど、海水は嫌いだワン! 海の家の店でうろうろしていると、お店の人がバケツにお水を入れてくれました。どうぞ、飲んで! と言われても、辛い水はいらないワン。レオ君、普通の水だよ! 僕は信じないワン! 帰りに、小さな川があったので、そこで遊んだら、おお、この水は甘いぞワン。これなら泳げるワン! 小川でスイスイと気持ちよく泳いで楽しみました。やっぱり、川の方が安心だワン!第三章 兄弟愛篇 僕の兄弟に会いたいな
僕の兄弟たちはどうしているのかな?何処で暮らしているのかな?僕は知りたいなぁ。 一年後、高槻の飼い主のお母様を訪ねて、兄弟たちの行き先を聞いてみよう。涙の再会だワン。 僕は期待を胸に会ってみました。飼い主のお母様は三軒ほど住所を教えてくれました。 その時、僕のお母さん犬が庭に居ましたが、凄い剣幕で吠えられてビックリしました。 お母さん犬は何しに帰ってきた?悪いことをしたのか?嫌われたのか?帰ってくるな! と凄く怒っていました。もう、お母さんは僕のことを忘れたのかな?と思いました。 しかし、僕がここを出る時、お母さんはいきなりパパに近づき、顔をパパのおなかに押しつけた。 息子をよろしく。立派な犬に育ててください。と言って、僕と最後の別れにしたんだワン。 だから、会わずに陰ながら、息子の成長を応援しているんだワン。僕はそう思ったワン。 教えてもらった住所を訪ねて、兄弟犬に会ってみたが、僕とはちっとも似てないワン。 体型も違うし、毛色も濃い茶色で少し母親に似ていたワン。白い犬も居たが似てないワン。 僕は不思議に思ったワン。何故、僕と似ていないんだろう?僕だけが違うようだワン。 でも、僕は間違いなくお母さん犬の子供だワン。僕の毛並みが良く似ているワン。 気になると言えば、僕だけ特別に白くて小さかったことだワン。お母さんと違うところは、 大きくなってから、足が非常に長いということだワン。それに飼い主のお母様は僕の 誕生日を知らないと言ったワン。大体、生まれて2か月ぐらいと言ったワン。 だから、本当の誕生日は知らないワン。僕のパパが決めてくれた日が僕の誕生日だワン。 その後、僕のお母さんは広島県へ行ってしまい、会うことが出来なくなりましたワン。第四章 めざめ篇 僕を登山に連れてって
僕のパパが連休なので遠くへ連れて行ってくれたワン。奈良県の曽爾高原と言う所だワン。 だけど、僕は車に乗ると直ぐに酔って苦しくなるので行きたくなかったワン。夕方、現地に着いたので 車の中で眠ったワン。翌朝、ススキの草原を散歩したが、ススキが僕より高くて草原ではなかったワン。 見晴らしの良いところまで道を登ると、展望が良くて、なぜか今までになく気持ちが良かったワン。 山道はさらに続いていたので、僕は何かに取り付かれたように登り続けたワン。 そして、山の頂上らしきところに着いたワン。頂上は霧がかかり。時々景色が見えたワン。 ベンチで食事をしてから、そろそろ帰ろうかとパパに言われたが、僕は帰りたくなかったワン。 このミステリアスな空間を離れたくないワン。紐を引っ張られても踏ん張って動かなかったワン。 しばらく、ベンチの上に座り、霧の隙間から見える下界を眺め続けたワン。素晴らしい眺めだワン。 2時間程頂上で過ごしてから、下山を始めたワン。なんと楽しい場所なんだワン。岩を飛び越え、 草をかき分け、階段を下って、ススキの道を歩いたワン。楽しくて心が弾んだワン。 楽しい時間が過ぎて帰路に就いたワン。(これはレオ君の気持ちを代弁しました) 翌朝、いつものように朝に散歩に出かけ、お家に帰ると、車のドアの前に来た時、ふと昨日の 楽しかった場所を思い出したワン。お願いだから車で昨日の場所へ連れて行ってとアーピルしたワン。 車のドアの前に座り込んでおねだりだワン。しかし、パパは言った。レオ君は車が苦手なんだろ? 紐を引っ張てもびくとも動かない強い願望に負けたのか、近くの山に連れて行ってくれたワン。 生駒山脈の交野山と言う山で、頂上に観音岩と言う大きな岩があり。展望が抜群だったワン。 僕が精一杯の楽しさを見せたら、パパが解ってくれたようで山の本を買って調べてくれたワン。 僕は車で酔うことを忘れ、克服して、遠くの山にも平気でドライブできるようになったワン。 だから、時間の許す限り、僕を登山に連れてって欲しいワン。 そこから、レオ君の登山犬生が始まったのです。数え切れないほど山登りをするのです。 金剛山を登っていた時、子供の登山者から「この犬、頭にハートマークがあるよ。」と言われました。 よく見ると、ハートマークに見えた。そして、「ハートマークのレオ」の誕生です。 レオくんのハートマークは日毎に、ハッキリとハートマークに見えるようになりました。 僕はハートマークのレオですワン。これからは「ハートマークのレオ」と呼んでくださいワン。 言っておくが、パパは登山が一番苦手なんだよ。でも、連れて行ってあげるよ、君が望むなら。 日本全国の山々に登るなんて想像もしなかったが。レオ君の熱い熱意には勝てませんでした。 14年間で1900回以上登山をして、全国の山々 1238座の頂上に立ちましたワン。 レオ君が日本最高峰、第二高峰の富士山や北岳などに登るなんて、考えてもいませんでした。 レオ君の強い意志の賜物かもしれない。忘れられないレオ君の笑顔にコントロールされました。 レオ君の凄いところはバケツを咥えて登山をすることです。いつも散歩の時に何かを咥えます。 三重県の青山高原に行ったとき、水を飲むために持って行ったバケツを咥えたまま4Km以上も 登り続けました。これがレオ君のバケツ登山の始まりです。バケツはレオ君の登山道具です。 あの富士山の最高峰剣ヶ峰までバケツを咥えて登ったことは忘れられません。感動した。 登山口に着くとバケツを咥えて張り切るレオ君が好きです。